
「ジプシーってどんな人?何をしている人?」
良く聞かれる。
放浪の民、哀愁漂う独特の音楽、フラメンコやベリーダンス、ボヘミアンファッション…。
どれも正解だ。
なぜなら、世界には多くのジプシーがいるから。
壮大な旅をしたジプシーは今、ほどんどの人がそれぞれの土地で定住している。
いや、定住することを余儀なくされていると言った方が正しいのかもしれない。
最近では、移動しながら暮らしているジプシーはごくわずかだ。
しかし旅はしていなくても彼らは「ジプシー」。
放浪の民の自由な精神は、今でも受け継がれている。
そもそも「ジプシー」という呼び名は、英語で「エジプシャン」エジプト人が変化したものだ。
フランス語では、「ボヘミアン」今で言うチェコ人。
最近では、芸術家や作家、伝統や習慣にこだわらない自由奔放な生活をしている人を
「ボヘミアン」と呼ぶこともあるけれども、由来はここにある。
しかし、ジプシーはエジプト人でもなければ、チェコ人でもない。
彼らは元々インド人だ。
今から約1000年前、ジプシーはインドのラジャスタン地方から「安住の地を求めて」
西に旅立ち、中東、バルカン半島を通って東ヨーロッパに入り、フランスやスペイン、
北欧など世界へと広がって行った。
当時、東から旅して来たジプシーを人々は、エジプト人、もしくはチェコ人と呼んだ。
この1000年の間にジプシーは、世界で約1200万人になった。
小さな国が一つできてしまうほどの人数だ。
今では「ジプシー」や「ボヘミアン」という呼び名は公式には使われない。
「ロマ」真の人間という意味のその言葉が世界中で暮らすジプシーの新しい呼び名となった。
世界各地に広がったジプシーを一つの民族として保護しようという思いがあるらしいが、
実際、彼らの中には「ジプシー」という呼び名に誇りを持っている人も数多くいる。
ジプシー音楽やジプシーダンス、彼らのカルチャーを「ジプシー」という言葉無しには語れない。
だからわたしは、敬意をもって彼らを「ジプシー」と呼ぶことにしている。
ジプシーはどんな旅をして来たのか?
彼らは、楽士、占い師、芸人、鍛冶屋、籠つくり、馬商人など、
行商としてヨーロッパ各地を幌馬車で移動しながら暮らしていた。
冬の間はどこかに留まり、春から秋にかけて各地で商売をしながら、旅をしていたのだ。
それは土地に根を張って暮らしていた地元の人々にとってジプシーは、
自由きままに放浪生活をする人々として、「放浪の民」というイメージとなった。
ところが、今では自由にキャンプをしながら行商で暮らしていくことは現実的に困難な時代だ。
もちろん、今に至るまでに様々な歴史の波があったことだろう。
それでも「ジプシー」として暮らしている人々はいったいどんな人々なんだろう…。
そんな彼らの「今」に出会うため、わたしは旅に出た。 |